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いにしえの時代から武具や衣類に使われた鹿皮革

鹿皮は古くから、馬・牛皮などよりも加工しやすい生活用品として使われてきました。
日本では、太古の集落跡から獣皮(じゅうひ)・樹皮(じゅひ)・藁編み(わらあみ)の甲冑と想像されるものが出土しています。
鹿皮を武具へ利用した始まりは弥生時代だったといわれています。
西暦500年頃になると、韓国の革工人たちから皮の加工技術が日本に伝えられ、
その後は長い歴史と工夫を積み重ねて、日本鹿を使った独自の文化として皮革製品が作られるようになりました。
この時代の革染めは、黒漆(くろうるし)、朱漆(しゅうるし)に薫(ふすべ)でしたが、
平安時代になると、祭礼や武道具の材料として、画革地、重複染革が登場して革染が開花します。
染めは衣服や調度品とする布綿などに色や文様をつけることを発端として、
鹿革のみが染革素材に使用されるようになりました。
特に鹿革では、藍染革、燻革(ふすべかわ)、菖蒲革、やわた革、紋革(もんがわ)が有名です。

国内最大級の鹿牧場『ディアー・カンパニー』。

長崎県南島原市にあるディアー・カンパニーでは、すべて自社の牧場で産まれて育った鹿の皮を使用しています。
餌や飼育にこだわることにより、野生の鹿とは別格の品質の鹿革を生産しています。
革は雌雄や年齢によって特徴が違います。さらに革には、個体識別番号(雌雄、屠畜日、系統、年齢)をつけられます。
個体識別番号で革のトレサビリティー(追跡可能性)を確立し、信頼できる革をお使いいただけます。鹿革製品に個体識別番号をつけることができるのは、日本では「朱華(はねず)」製品のみです。
管理飼育を徹底した長崎産の鹿の革を、長崎の職人が加工、日本のブランドとして発展させていくこと。そして藍染めも、雲仙で栽培した植物を使って地元で加工することを目指して努力を重ねています

長崎から始まる日本初の製品

現在「白なめし」の鹿革を国内で製造しているのは、新敏製革所だけです。また、藍染めや草木染めを施した鹿革の製品は「朱華(はねず)」製品が初めてになります。
日本は古来、甲冑や武具、足袋などに天然の植物で染色した鹿革を用いました。この手法を復元したのが白なめしであり、白なめし革の藍染めです。しかし手間と時間と費用がかかり、大量生産に向いていません。
そんな途絶えがちな日本の技術と伝統を復活させ、商品化して後世に残したい、文化継承の役割を担いたい。それが私たちの願いです。
最近では、食べ物と同様に革製品にも、身体に安全・安心な製品が求められるようになりました。
「朱華(はねず)」製品に使用する革は、すべてエコレザー認定を取得した革です。人間や自然環境に負荷をかけない製造、金具を外して土に埋めると自然に還るような加工を大切にしています。